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医者が飲まない薬 誰も言えなかった「真実」 (宝島社新書)
新藥の罠
本書のタイトルは「医者が飲まない薬」としていますが、特定の薬についての評価を述べた内容ではありません。むしろ、適切に使用すべき薬に限定することを提案した「減薬の勧め」です。投薬の最適化は古くからの課題ですが、この問題に改めて注目が集まる理由は、「新型コロナウイルス」を発端とする医療の大混乱で、特に、十分に明らかにされていない新薬への過剰な依存問題です。さまざまな圧力にも負けずに第一線で発熱患者の診療に奮闘してきた4人の医師が自身の経験に基づいて、薬漬けの医療に対する批判的な視点から、新型コロナ対策の実情に鋭く言及し、決死の覚悟で国民に訴えかける一冊です。 本書では触れていませんが、医師の業績を売り上げで査定したり、診療現場の電子化が画面ばかりになって患者を十分に診ない体質となった要因が現状を招いたと考えます。都合よくデータ処理された「論文」が「権威ある雑誌」で掲載されても、実際の医師はその正体を見抜けずに安易に信じてしまうことがあります。それよりも業界から提供されるインセンティブの影響を受けやすく、医師の視点が曇ってしまうのは、頼りすぎて自身で患者をしっかり診ないからだと思います。本書を読んでそう感じました。 条件が統制された臨床試験でわかることは最低限必要ですが、医薬品が承認され実際に使われ始めると、予期せぬ問題が色々と出てきます。しかし、高価な新薬の売り上げを少しでも伸ばしたい業界の意図があります。あらゆる手法で効能が確立した価格の安い(負担の少ない)良薬が追いやられていく状況です。現在の異常な超過死亡増加の真犯人は何者なのか、本書がそれを教えてくれました。本書のタイトルは少しトリッキーですが、同時に的確に本質に触れています。
anonymous
2023-11-27